ART TOUCH 絵画と映画と小説と

もとは美術展評のブログ 絵画と映画と小説と、そして哲学を少々

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.--[--] Post --:--  CO:-  TB:-  スポンサー広告  Top▲

COMMENT

NAME

SUBJECT

BLOG/HP

PASSWORD

COMMENT

SECRET: ※非公開コメントにしたい場合はBOXにチェックをして下さい ⇒ 

SUBMIT: 送信 

TRACKBACK

スポンサーサイト のトラックバックアドレス
http://petapetahirahira.blog50.fc2.com/tb.php/942-008b8f50
 ⇒ この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

大貫仁美に期待する

大貫仁美には何か期待できるものがある。美学から存在論への予感がする。

下の引用は大貫仁美のHPからコピペしたものだ。(*)

「欠落」「傷」「不具性」「異形」
完璧とは違う、欠けているからこそ生じる美の姿に非常に興味があります。それは、日本独自の「諸行無常」の価値観に通じるものがあるからです。「金継ぎ」に見られるように壊れたものを繋いで尚そこに美を見出す力に私はこの国独自の熱い情念を感じます。
全てのものは時間との戦いの最中にあります。私はそうした時間のもつ抗いがたい力の中から、ほんの一瞬の美の姿を切り取っていきたいのです。
オオカミという滅びゆく美しい獣、ネズミという豊饒な生命力を持ちながらも不浄とされる獣たちを、ガラスという儚くも美しい素材を使用し、金継ぎによって「繋ぎ」表現していきたいと考えています。
本当に美しいものは「欠落」の中にあるという自分の信義に忠実に、
「凄絶な技の先に見える乱丁の世界」を目指して、日々精進しています。


大貫の立体はガラス工芸品から始まった。ガラスを使った彫刻家にビーズ玉の名和晃平がいる。ガラスは反射し、屈折し、透明で、輝いている。ガラス工芸は美しい。

「欠落」「傷」「不具性」「異形」といえば、フランシス・ベーコンだ。ベーコンは、そうしたネガティブなもので人間存在の不安を表していると言われている。しかし、大貫仁美は、そのネガティブなものによって現れる美こそ表現したいものなのだ。

そうは言っても、作者のいうことをそのまま鵜呑みにすることはできない。芸術制作というものは、それが優れた芸術であればあるほど、作者の意図を裏切るものだ。最初は偶然かもしれない。素材の板ガラスは脆いものだ。カットやスランピングや金継ぎのときに、割れたり、欠けたり、歪むなどして、「欠落」「傷」「不具性」「異形」が生じることもあるだろう。それを直すこともあるし、美しければ、それを生かすこともある。学内の賞をもらった卒業制作は、修復した古いものを参考にしたそうだが、ガラス工芸品として特に瑕疵のない仕上がりだ。

卒業制作だから、慎重に作業を進めただろうし、失敗したら何度でもやり直したに違いない。しかし作家の鋭い目はその失敗の中に現れたものを捉えて離さない。そこには単なる美的なものを超えた「真理」が現れる。ジャコメッティに《頭蓋を欠いた頭部》という彫刻がある。文字通り頭蓋骨が「欠落」しているのだが、見る角度を変えながら彫刻の周りを巡っていると、突然陥没した頭蓋骨が修復されて見える。これは錯視も働いているのだが、人体にまつわる人間存在の真理の現出なのだ。

大貫のガラス作品で面白いのは金継ぎの線だ。この線が立体彫刻の輪郭線のように見える。彫刻にはもともと輪郭線はない。写真に撮れば、撮ったアングルの輪郭線が現れる。しかし、観者の視線が動けば、三次元の彫刻の輪郭線も揺れ動く。だから、ジャコメッティのドローイングの輪郭線は何本もある。揺れ動く輪郭線に侵食されて、彫刻は顔も身体も細くなる、細くなって一本の線になる。

彫刻に輪郭線がないのではなく、無数にある。無数の線が集まって面になる。大貫仁美の金継ぎの線も表面にある輪郭線だ。外側ではなく、内側にある。大貫はガラスの嵌まっていない金継ぎの線を残している。そこにもまた充実した密度のある空間がある。

大貫仁美が工芸の美を克服できるかどうかわからない。大貫は大きな作品に挑戦している。小さくては工芸品のままだ。大きければ身体感覚が働く。身体こそ彫刻の存在論なのだ。大貫仁美に期待しよう。ただ、ガラス工芸の「光と色」の美しさに溺れないように。




スレッド:art・芸術・美術 / ジャンル:学問・文化・芸術

2014.11.10[Mon] Post 10:10  CO:0  TB:0  大貫仁美  Top▲

COMMENT

NAME

SUBJECT

BLOG/HP

PASSWORD

COMMENT

SECRET: ※非公開コメントにしたい場合はBOXにチェックをして下さい ⇒ 

SUBMIT: 送信 

TRACKBACK

大貫仁美に期待する のトラックバックアドレス
http://petapetahirahira.blog50.fc2.com/tb.php/942-008b8f50
 ⇒ この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

Log in*/RSS*】  Design 「AZ+」Plugin Template...  Page Top▲
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。