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『大エルミタージュ美術館展』(国立新美術館):マチスの《赤い部屋》

『セザンヌ展』のあと『大エルミタージュ美術館展』を見た。名画を楽しむほどの美術史の知識はないけれど、400年間の泰西名画が展観されているそうだから、なにはともあれ、グリーンバーグの「平面性」とやらいうものを、理論的にではなく、この目で確かめて見ようと会場に入った。

最初に目にとまったのはレンブラントの《老婦人の肖像》だった。顔や手に絵具が擦りつけたように付着している。白い絹のショールだろうか、硬い筆で絵具が引き伸ばされている。絵具が描写する色であるまえに、絵画表面にこびりついた物質なのだ。これは、グリーンバーグが『抽象と具象(再現性)など』で「レンブラントが晩年、ジュースのようにゆるい絵具を、肖像画の耳ではなく、額や鼻に塗り重ねたということは、彼の到達した美的な帰結と大いに関係があることだが、それが何故か(why)、どうやってか(how)はわれわれにはまだ分からない。」と書いた言葉と関係があるのだろうか。いずれにしろ、少し離れて見れば、生の絵具のタッチは消えて老婦人のリアルな肌がそこにある。

《馬に鞍をおくアラブ人》はドラクロワとは気づかずにそのまま通りすぎてしまった。帰ってカタログを見てはじめてドラクロワと識った。とくに面白いとは思わなかった。ロマン派の色彩や主題といったものが面白いとは思わない。その後の印象派にも優れたものもあるし、つまらないものもある。モネの《霧のウォタールー橋》とルノワールの《黒い服を着た婦人》が素晴らしい。印象派は輪郭がボヤけているとか、奥行が曖昧だと言われるが、《霧のウォタールー橋》は、霧の層の向こうに橋や煙突がくっきりと見える。ルノワールはパレットから黒を追放したと言われるが、この《黒い服を着た婦人》の黒は、右側からの光で灰色から青、そして陰の部分の黒へと変化し、さらに、婦人の肌の白とブラウスの襟の白と袖の白との対比で、白と黒は明度対比を超えた豊穣な色彩のメロディーを響かせている。

印象派は、絵画の平面性をあからさまに宣言したマネから生まれたと言われているけれど、そのマネを含めて、印象派は少し離れて鑑賞すれば、たいていは平面性よりも三次元のイリュージョンが勝っているように見える。平面性に関わる作品はセザンヌの《カーテンのある静物》とピカソの《マンドリンを弾く女》、そしてマチスの《赤い部屋》だろう。セザンヌの《カーテンのある静物》とピカソの《マンドリンを弾く女》は理論的にはいろいろと論じることがあるのだろうが、私にはそれほど魅力的なものには見えなかった。

圧倒的に目を捉えて離さないのはマチスの《赤い部屋》だ。どの位置から見ても、絵画平面に塗られた絵具の赤と部屋の壁紙やテーブルクロスの赤のどちらか一方が他を圧倒するということはない。両者が拮抗しながら、互いに争うこと無く調和している。壁紙とテーブルクロスの同じ模様は、赤い色と同じように、キャンバスのリテラルな絵画平面と、描かれた壁やテーブルの描かれた垂直面や水平面に同時に存在する。マチスの平面性は、リテラルな平面性と描かれた平面性が対立することもなく融合することもなく、それぞれ独立しながら、不思議な調和(Harmony in Red)を生み出している。

マチスの平面性については別に論じたい。


2012.07.24[Tue] Post 00:48  CO:0  TB:0  美術展評  Top▲

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