ART TOUCH 絵画と映画と小説と

もとは美術展評のブログ 絵画と映画と小説と、そして哲学を少々

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.--[--] Post --:--  CO:-  TB:-  スポンサー広告  Top▲

COMMENT

NAME

SUBJECT

BLOG/HP

PASSWORD

COMMENT

SECRET: ※非公開コメントにしたい場合はBOXにチェックをして下さい ⇒ 

SUBMIT: 送信 

TRACKBACK

スポンサーサイト のトラックバックアドレス
http://petapetahirahira.blog50.fc2.com/tb.php/82-291e18e3
 ⇒ この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

Salvador Dali

  ダリ回顧展(上野の森美術館)★★★

 平日というのに観客であふれている。比較的小さい作品が多いので、よけい混雑が目立つ。東京都現代美術館の大竹伸朗展と同じように、美大生風の若者も多かったが、何故かこっちの若者は、あっちと比べて背が低く、格好も貧乏くさい感じがする。
 館員が、「順番はありません、空いているところからごらんください」と案内していたが、回顧展だというのに、それじゃ困るじゃないか。

 かれこれ40年経つが、学生のころ、はじめてダリの個展を見て以来、ずーっと不思議に思っていたことがある。それは、ダリが美神と崇めていたという妻のガラが、普通のおばさんにしか描かれていないことである。
*
 詩人のポール・エリュアールは「壁をも貫くような」とガラの眼差しを讃えたそうだが、マン・レイが撮った写真にしても、ダリが描いた肖像画にしても、私にはドングリ眼の奥目にしかみえない。
 眼差しはともかく、ダリはガラの裸体も描いているのだが、後ろ姿は魅力的といえるが、前から描いたガラは、老いが滲み出ていて、美しいとはとても言えない。ガラがダリより十歳年上だったことを考えると、これは重要なことではないか。ダリの技能をもってすれば、老いを崇高にも上品にも描くことだって出来たはずだ。

 今回の回顧展には出展されていないが、ガラを描いた《ガラリーナ》という肖像画がある。ダリにとっては、ラファエルにとっての《La fornarina》だと、ダリ自身がいっているのだが、たしかに、清純な聖母子を得意としたラファエルにしては、《La fornarina》は、両乳房を剥き出しにして、鼻は大きく、目はギョロメで、決して美人とはいえないが、両手は誘惑するような仕草で、ラファエルへの愛情は強くあらわれ、高貴ではないが、魅力的な女に描かれている。
  20061111181039.jpg

 しかし、《ガラリーナ》はどうだろう。とても魅力的とはいえない。ガラの眼差しに愛情がないのはともかくとして、ダリの視線にもガラにたする愛情はまったく感じられない。そのくせ、ダリはこの絵がガラへのオマージュだといいはり、どう見たって拒絶としか思えない組んだ両腕を、自分の描いた写実的な作品の《パン籠》の籠に、乳房をパンに喩えているけれど、乳房は萎みかかって、とても魅力的とはいえない。
 そもそも、片方の乳房だけ見せているのは、図像学的には、「イエスに授乳するマリア」を連想させるのだから、母親からの離乳体験が隠されているのかもしれない。しかし、ブラウスが乱れ、焦点が合わない目は、どう見たって、陵辱された女である。
 どちらにしろ、こんな風にダリを見ていては、どうしたって、ガラに対するアンビバレントな愛憎とかなんとか、ダリの思うつぼにはまって、精神分析風鑑賞になってしまう。いったい、これは絵画の正しい評価のしかたなのだろうか。
 ダリは自分の絵を「夢の写真だ」と言ったそうだが、ダリがフロイト理論によって絵を描き、評論家がフロイト理論によって解釈するというのは、なにか堂々巡りではないか。
 カタログの解説のほとんどが、ダリの〈病歴〉によって作品を説明しているのだが、もし、ダリの絵画がそんな風に理解されるなら、それは絵画と言うよりも、イラストと言わざるを得ない。
 そんな中で、この《ガラリーナ》は夢の世界ではなく、現実の女を描いたもので、これまでで、もっとも醜い女を描いたもっとも美しい肖像画なのである。《ガラリーナ》は《モナリザ》よりも美しい。

PS:ちょと美術展評から逸れてしまいました。いまのところ、ダリのSurrealismeにはイラスト以上のものは見いだせないので。それから、今回の回顧展には、習作時代の作品も出展されていて、興味深かった。 にほんブログ村 美術ブログへ
2006.11.07[Tue] Post 22:08  CO:0  TB:0  美術展評  Top▲

COMMENT

NAME

SUBJECT

BLOG/HP

PASSWORD

COMMENT

SECRET: ※非公開コメントにしたい場合はBOXにチェックをして下さい ⇒ 

SUBMIT: 送信 

TRACKBACK

Salvador Dali のトラックバックアドレス
http://petapetahirahira.blog50.fc2.com/tb.php/82-291e18e3
 ⇒ この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

Log in*/RSS*】  Design 「AZ+」Plugin Template...  Page Top▲
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。