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『3・11後の現代アーティストたち』三瀦末雄(東京新聞8/19)

東京新聞に三瀦末雄が『3・11後の現代アーティストたち』を寄稿している。

いっとき、ジェンダーとか身体とか多文化主義の展覧会がはやったけれど、この百年に一度千年に一度の大災厄を、ギャラリストの三潴氏が利用しない手はない。「Chim↑Pom」のように、ストレートに福島原発事故を題材にして、売上の一部を寄付するのがプロモーションとしては、手っ取り早い。でも、それでは、ただ「3・11」の災害を主題するだけで、「3・11《後》」の芸術の意味を問うことにはならない。

三瀦氏は95年の阪神・淡路大震災の経験から始める。

地震の破壊力の壮絶さに「殲滅」という漢字の意味を文字通り体験した。長田地区の焼けただれたアーケードの鉄骨に布切れがひらひらとはためく光景を見た時、強烈な印象のアンセルム・キーファーの作品もこのリアリティの前には力を失うと思った。しばらくの期間、リアリティを喪失したアートが白々しく感じられ、作品を見る気力をなくした。


アドルノは「アウシュヴィッツの後詩を書くことは野蛮である」と言ったけれど、キーファーは、アウシュビッツをテーマに作品を制作した。リアリティが実在性なら、絵は現実にかなわない。しかし、絵画には現実に勝る表現の真実がある。たとえば、丸木夫妻の《原爆の図》は阿鼻叫喚の地獄図であり、ピカソの《ゲルニカ》はメカニカルな非人間性の表現である。

そして、キーファーは絵画表面の物質的破壊によって、アウシュビッツの「殲滅」を表現する。それは、図像だけではなく、絵具や文字や写真や事物をコラージュしたおどろおどろしい作品なのだが、それでも、三瀦氏は、長田地区で見た俳句的な静寂の風景のリアリティにはかなわないという。

三潴氏が「3・11後」をアーティストたちに問うのは、アートの表現が現実にかなわないということではない。事実、三瀦が問いかける作家は、O JUN、池田学、堀浩哉、宮永愛子などだが、誰の作品も地震や津波を直接描いたものではない。三瀦は現代アーティストたちに主題の意味を問うているのではなく、「3・11後」に絵を描くことの意味を問うているのだ。

アドルノよりサルトルの「飢えた子どもを前にして文学は無力だ」と言う言葉を引用したほうが三瀦氏の問の意味は分かりやすいかもしれない。しかし、冷戦が終わった今、こんな社会主義リアリズム丸出しの言葉が有効だろうか。問われたアーティストたちも、何やら要領の得ない答えをモゾモゾと言うばかりであり、問うた三潴氏も、「アートは無力だ、などど嘆く前に、誠実に作品を制作し続けることが望まれる。それが必ずや復興のへの手掛かりになるーそう信じている。」と、分かったような、分からぬようなことを言う。

しかし、これが美学ではなく、倫理学の問だとすれば、逆に、絵画も無力とは言えない。三潴氏はキーファーにリアリティがなく、白々しく感じるというけれど、その誇張された神話的記念碑的表現が、多くの人にホロコーストへの否定的感情を呼び起すのも事実であろう。同じように《原爆の図》は反核運動に役立つし、社会主義リアリズムは労働者の団結を、一時的ではあるが、強めるだろう。

しかし、「3・11後」の意味が分からない。まさか、瓦礫の片付けをしたり、原発の冷温停止を手伝うのではあるまい。それとも、「なでしこジャパン」のように勇気を与えたいのか。どちらにしろ、アーティストたちは無力を嘆いてはいない。嘆いているフリをしているだけだ。「Chim↑Pom」は素直に便乗商法をしているだけだけれど、三瀦氏にはギャラリストとしての気取りの美学があるように思える。


2011.09.03[Sat] Post 23:52  CO:0  TB:0  美術展評  Top▲

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