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マネ論② NHK日曜美術館 『マネは見た 都市生活者の秘密』 

最近、日曜美術館をときどき見ている。ネタの宝庫だからだ。

今週の特集はマネだというので、ちょっと覗いてみた。というのも、『マネとモダン・パリ』(三菱一号館美術館)を見て、マネがちっとも面白くなかったからだ。

「芸術新潮5月号『マネ特集号』」の記事で約束したように「素直にマネを見た」。確かに、その大胆な筆触による繊細でモデリングのない平面的な描写は、当時のアカデミーと比べれば、一種の「アヴァンギャルド」だと言えなくはないのだろうが、今から見れば私にはごく普通の具象画にしか見えない。

《草上の昼食》や《オランピア》のヌードも当時としてはスキャンダラスだったろうが、今では普通の裸体画である。番組の出演者三浦篤はパリという都会生活の背景を強調するが、「都会」とは写真の図像学によって繰り返し論じられたキーワードであり、事実マネの絵画について論じたものは、ほとんどが写真の図像学(表象文化論)と重なっている。服を着た男と裸の女を絡ませるヌード写真はだれもが飽き飽きしている。

番組の後半に《フォリー・ベルジェールのバー》の有名なバーメイドと鏡像のズレの分析があり、フランス人の画家が、マネが絵を描いているときの視線と、休憩中にモデルと談笑しているときの視線がひとつになっていると解説していた。多視点の絵画といえばセザンヌだが、彼の静物画は、多視点が空間の歪みを生み、図像客体の知覚と図像主題の想像が弁証法的戯れとなって、絵画的イリュージョンを豊かにしている。

そういう意味では《フォリー・ベルジェールのバー》はセザンヌのような多視点ではないし、空間の歪みもない。それは一つ視点が鏡によって擬似的に二つの視点に分離したように見えるだけで、鏡は視点そのものを二重化することはない。鏡はリアルな空間にヴァーチャルな虚の空間をはめ込むだけなのだ。

そもそもこの絵の中には鏡は描かれていない。鏡の縁はない。それなのに何故バーメイドの背後に鏡があるとおもうのだろう。もちろんバー・カウンターの背後に鏡があるのがキャバレーのインテリアということもあるけれど、それより大抵の日本人は解説書を読んで、この奇妙なマネの「傑作」の秘密を知ったのだ。しかし、なんの知識もなく、この絵を見たら、こちらを見ているバーメイドの後ろ姿が鏡に写っているようには見えない。カウンターの中に別のお仕着せを着たバーメイドが背中を見せて客と話しているようにも見える。もしこれが鏡像なら、バーメイドとバーメイドの間に鏡が斜めに置かれていなければならないが、そんな斜めの鏡はないし、斜めでなくても、そもそも何処にも鏡は見えないのだ。

いずれにしろ、鏡は後ろの壁に大理石のカウンターに平行にかつ垂直に設置されているということなのだが、鏡の縁は見えないし、鏡のこちら側にあるものが鏡の向こう側にあるものと鏡像の関係にあるようにも見えない。メイドの背後の見える光景が鏡に写った鏡像だと言われなければ、ただちょっと遠近法(例えば後ろ姿のメイドと男の距離など)がチグハグな感じのする絵というだけではないのか。

絵画としてはひとまずこれ以上付け加えることはない。それにしても依然としてマネの奇妙さは残る。なぜこれほどまでに批評家や美術史家はマネに関心を持つのか。次回は、彼らがいったい何を論じているのか考えてみたい。

つづく 



2010.06.15[Tue] Post 21:36  CO:0  TB:0  -マネ  Top▲

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