ちょっと、がっかりした。
《万札地肥瘠相見図》は上野の森美術館の『アートで候。会田誠 山口晃展』でみた。新たに描き加えられたらしいが、何の絵なのか相変わらずよく判らない。
《灰色の山》は遠くから見れば墨絵風に見える。近づけばサラリーマンの死骸の山なのだが、《ジューサーミキサー》ほどの驚きはない。たしかにこれだけ膨大な数の死骸の山を描く技術と忍耐には驚嘆するが、部分的に見れば、このぐらいの技巧を持つ漫画家はたくさん他にもいるだろう。
《1+1=2》は四半世紀ぶりの本格的な油絵だということだが、まったく凡庸な作品と言わざるをえない。産経新聞の写真では「1+1=2」の文字がはっきりと見えたのだが、狭いギャラリーでは、そのつもりで見ないと数字は見えて来ない。アクション・ペインティング風な処もあるし、造形的な抽象の気もするし、あるいは表現主義かなと思うけれど、ともかく中途半端であり、わたしにはよくわからない抽象画だった。
辰野登恵子の言っていた空間のイリュージョンも弱いように思える。
《よかまん》は、踊っている女性の胸が貧相なのはいいとして、腹筋がないぺちゃんこのお腹はちょっと目を背けたくなる。陰毛を隠したり見せたりするヘタな踊りは、むかし倉敷の見世物小屋で見たストリップ嬢の踊りをおもいだす。かどわかされた女がいやいやおどっているようだ。いっそのこと、「おま*こ、お*んこ」と叫んで東大教授になった上野千鶴子に踊ってもらったら良かったのに。