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ゲルハルト・リヒター 「New Overpainted Photographs」展(後編)

『前編』からつづく

「Overpainted Photographs」は文字通り写真の上に絵具が擦りつけられた作品で、具象画の上に抽象画が重なっていることになる。擦りつけられた絵具が抽象画としてさまざまな程度にイリュージョンを持つ。《フィレンツェ》のシリーズでは、まったく透明な写真の表面に絵具がこびりついているように見えるものもある。あるいはフィレンツェの街並みに沿うように写真のイリュージョン空間の中に侵入しているように見えるものもあるけれど、絵具は写真のツルツルした物理的表面に付着している。

絵具がスキージで擦りつけられているので、なおさら絵具の物質感が強調され、写真の非物質的イリュージョンとの対照が際立つ。こういうところが図解的と言われるのだが、こんどの「『New Overpainted Photographs」では、このスキージの技法ではなく、新しいoverpaintの技法を使った作品がある。正確な方法は判らないが、油絵具の代わりにラッカーを垂らし、墨流しのように模様を作り、そのまま乾燥させて、表面に皺を寄せた作品、絵具を薄く塗って一部をヘラで擦りとったような作品、絵具を厚く置いて上からガラス板のようなもので押しつぶして素早く剥がしたような作品、どれもスキージの作品よりも、写真のイリュージョンと絵具の物質性の対比が顕著である。

中でもボケた写真を使った作品は、付着した絵具にピントが合って、向こうにみえる風景がアウトファーカスになっている。ということは印画紙の物理的表面に付着した絵具が、写真イリュージョンの一番手前にある透明なガラスに付着しているように見えるということだ。実際に見ると、そこにあたかもガラスがあるかのように見える。さらに付け加えるならば、写真の表面に付着した「物理的な絵具」がピントが合った写真の被写体、すなわち「イリュージョンの絵具」になっている。

リヒターは自分の絵が「だまし絵」ではないといっているけれど、「蝿のだまし絵」に似ているところがある。蝿のだまし絵は、絵に描かれている蝿がキャンバスの表面にとまっている本物の蝿に見えるのだが、リヒターの作品は、印画紙の表面に付着している絵具が写真に写った被写体のように見えるということで、ちょうど逆になっている。

リヒターの作品はレトリカルだという、ベンジャミン・ブクローの批判は当たっている。しかし、リヒターの天才は、スキージの技法をたんなるレトリックにおわらせない。リヒターは、スキージ技法で絵具の物質性を露呈させるともに、抽象画にイリュージョン空間与え、さらに、筆を使ってあたかもスキージで描いような大作の抽象画も描く。リヒターのスキージの技法は、断言はできないけれど、ポロックのポードの技法に匹敵する優れた技法になっている。

以上のことは、リヒターのレトリックのいくつかを分析しただけで、リヒターの魅力が何処にあるのか何も語っていない。岡崎乾二郎もまたレトリカルと言えるだろうが、岡崎は反絵画、反イリュージョンに向かっているのに対し、リヒターは断固として絵画のイリュージョンの復活再生を目指しているように思える。

追加:意味不明な箇所修正(14日)


 写真の写実主義と表現主義については『マルレーネ・デュマス』参照
2010.03.11[Thu] Post 22:02  CO:0  TB:0  -ゲルハルト・リヒター  Top▲

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