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しりあがり寿

  しりあがり寿(横浜美術館)★

 しりあがり寿の『オレの王国、こんなにデカイよ。』は難解だ。なぜ、こんなヘタな絵をインスタレーションという形で展示するか分からないからだ。
 しかし、村上隆のスーパーフラット戦略に対抗するヘタウマ戦略だと考えれば、疑問は解ける。
しりあがり寿
*
 しりあがりの作品を見て、思い浮かべるのは、高校の文化祭だ。模造紙を教室の壁や天井や床に貼って、みんなで落書きをした作品に、そっくりである。
 僕は、藤枝晃雄的皮肉を言っているのではない。本当に分からないのだ。文化祭の展示なら、「元気がいいね」ぐらいの感想は述べるけれど、これは、美術館に展示されているアートなのだから、どこか面白いところがあるはずだが、どこにもない。
 なによりも、インスタレーションが分からない。束芋の『にっぽんの台所』は台所のビデオ映像の周りに座敷のセットを作っているのは、臨場感を出そうとしているのだから、それなりに分からないではない。しかし、それも、現代美術でいうインスタレーションではないだろう。
 インスタレーションは、彫刻や絵画というジャンルをこえた立体作品を観者の身体といっしょに展示空間に関係づけるような設置installのことだ。イルージョンを持つ絵画平面を利用したものはインスタレーションではなく、ジオラマかビックリハウスである。
 束芋のインスタレーションには、ビックリハウスの面白さがあるが、しりあがりの『オレの王国』は、本来のインスタレーションでもないし、ビックリハウスでもない。何のためのインスタレーションなのだろう。

 もう一つ分からないのは、こんなヘタな絵をひとに見せる魂胆である。
 カタログのインタビューで、学芸員は「ヘタウマ」というキーワードを持ち出したのはいいけれど、結局は「実はヘタでもなければヘタウマでもない」と、意味不明のことを言う。たしかに、「一見するとヘタだけれど、実はウマい」とは、とても言えない。
 しりあがりの本職は、漫画家で、手塚治虫に絵がウマイと褒められたそうだが、たしかにウマイとは言えないまでも、奇妙な味のある漫画を描いている。それなら漫画を描いていればいいのに、なぜ、わざわざヘタな絵を描いて、アーティストになろうとするのだろう。イラストをヘタに描けば芸術になるのだろうか。

 しりあがりは、村上の「スーパーフラット戦略」に対抗して、「ヘタウマ」の対抗戦略で世界に打って出るつもりだ。そのために、絵の下手な横尾忠則にならって「芸術家宣言」をする。そう考えれば、上で述べたすべての疑問は氷解する。
 カタログのインタビューを読めば、しりあがりは、学芸員と協力して、ヘタウマ戦略を立てているのがよくわかる。
 しきりに、自分のいい加減な制作態度を強調する。下絵も描かない、道具も絵の具も無頓着、三色ボールペンが一番きにいってると。スーパーフラットがキレイなら、ヘタウマは汚いほうがいい。村上がすべすべした筆アトのない色なら、こっちは筆と墨で、にじみカスレのしほうだい。
 あるいは、洞窟の壁に描きたいと言うが、きっと、ラスコーの洞窟画は呪術ではなく、イタズラ書きだったと、美術史を「脱構築」するつもりなのだろう。これはJapanese Graffitiなのだ。だから、インスタレーションといっても、壁にイタズラ書きをしただけで、「オレの王国」は自分の部屋の壁に漫画のイタズラ書きをしただけなのだ。
 これで、しりあがりが、何故、ヘタな絵を壁中に書き殴ったか分かるだろう。

 それからインタビューの最後で、しりあがりは、世界はヘタウマの洗礼を受けていないから、自分のヘタウマは成功しないと海外の人に言われたが、ヘタなものや完璧ではないものに味をくみ取るのが日本的だと言う。村上のスベスベした模様のような漫画ではなく、オレのが本当のジャパニーズMANGAだと言いたいのだろうが、負け惜しみというものだ。
 西欧にだって、bad painting というヘタウマはあるし、子供のように描くのに40年かかったというピカソの晩年の作品だってヘタウマといえるのだから。
 もちろん、一億円ぐらいの値段がつくかもしれない。しかし、売れたからといって、作品が面白くならないのは村上と同じことなのだが。

 しりあがりが、これを「オレの王国」と名付けるのは、人様に見せるような美術作品ではないと言いたいのか、それとも芸術とはそもそもママゴトだと言いたいのか、やっぱり分からない。

 村上に対抗した売り出しの戦略ばかり目立って、ちっとも面白くないインスタレーションであった。
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2006.09.07[Thu] Post 02:00  CO:0  TB:0  美術展評  Top▲

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