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『たみおのしあわせ』岩松了監督★★★☆

変な映画だ。近ごろよくある映画学校の卒業作品のようだ。岩松監督の15年ぶりの映画だということで、テレビドラマではない映画らしい映画を作ろうとしたのだろうか。

カメラで気になったことをいくつかあげておく。もちろん監督は意図的にやっているのだ。

民雄が見合いの相手のヒトミを駅に見送りに行ったシーン。ヒトミが結婚を承諾して、すぐに電車に乗って、ドアが閉まる。ここで切り返しがあるのだが、普通はカメラは電車の中からヒトミの肩越し、あるいはひとみの視線でドア越しに民雄を写すだろう。ところがカメラは反対側のホームからロングで撮る。カメラはヒトミの視線ではなく第三者の視線なる。ここで一瞬観客の意識が切断される。カメラは固定されている。電車が動いて左に消えると、走り去る電車の方ではなく、正面のカメラの方を呆然とみている民雄が薄暗いホームに佇立している。この後、父にヒトミが結婚承諾してくれたことを報告するために、民雄は夜道を走って帰る。このロング・ショットは美しい。

居間の真上からの俯瞰が出てくる。カメラのフレームが部屋の矩形と平行にならず、カメラが揺れ動く。そのときは、映像がちらちらして不快なだけなのだが、あるとき切ったはずのクーラーが動いているのを不思議に思った父がクーラーの方を見上げると、カメラが引いて、暗闇の中に穴が見える。天井裏の穴から誰かがのぞいているのだ。この俯瞰のフレームのズレや揺れはただ見にくいだけで、それが誰かが天井から覗いていることの「伏線」になるとは思えない。なんの効果もないただ見にくいだけのカメラ・ワークだ。

もうひとつ。
民雄とヒトミの結婚式の控え室で、父伸男とヒトミの会話が鏡をはさんでおこなわれるシーンがある。ところがこの二人の視線が映画の文法からはずれているのだ。父は左側に、ヒトミは壁の鏡に映っている。ところが二人はお互いに見つめ合っているのではなく、ヒトミは鏡のなかのカメラを見ている。鏡を使おうが使うまいが、ヒトミがカメラを見ているときは、父の視線はカメラの視線と完全に一致するのだから、手や足など目の前にかざすことができる身体部分以外はフレームの中に入ることはできない。それどころか父は鏡の中のヒトミではなく、フレームの右側の外にいるヒトミをみているのだ。父親の視線を基準にすれば、当然ヒトミは、直接父の視線を見ていなければならないのに、鏡の中のカメラをみているのだ。しかも、父の視線に答えるのではなく、カメラの視線に答えている。これはイマジナリー・ラインの違反とは比較にならないほど大きな違和感を生む。このあと、どこからか突然フレームの中に飛び込んできたヒトミが伸男に抱きつく。

異化効果がねらいなら、あるていど成功している。しかし、伏線のはりすぎで、せっかくの大団円もギャグになってしまった。父と息子の愛情を描いた映画は沢山ある。岩松了監督もこれまでにないやり方で息子と父の物語を作ろうとした。半ば成功し、半ば失敗したように思える。

この映画は二度見るように作られているのかもしれない。★三つ半は暫定的な評価だ。




2009.08.30[Sun] Post 21:59  CO:0  TB:0  映画  Top▲

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