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『ザ・マジックアワー』三谷幸喜監督★★☆

三谷幸喜が舞台演出家ではなく、映画監督になったつもりで撮っている。カットも切り返しも移動も多い。クレーンを使うのが古き良き時代の映画だと思っているのか、上がったり下がったり、高所恐怖の私は見ていてめまいがする。

そのかわり、セットが段ボールと発泡スチロールで作ったようにベコベコである。映画はリアリズムだから、セットがセットに見えると、それは本物のセットに見えてしまう。舞台ならベニヤ板で作った木も、本物に見えなくても、それは本物の木を意味する。町並みのセットは「映画中映画」(劇中劇)のセットだからセットに見えて良いのだと言い張っても、どうしても映画のリアリズムが邪魔して、落ち着いて映画の世界に入れない。頭が混乱してくる。

このことは俳優の演技にも言える。佐藤浩市はこの映画の主人公「村田大樹」と、劇中劇の殺し屋の「デラ富樫」の二つの演技をしなければならない。ようするに佐藤浩市は「上手な演技」と「下手な演技の上手な演技」の二つを演じ分けなければならないわけだ。ところが、映画の表層的なリアリズムは「下手な演技」と「下手な演技を上手に演じたもの」との区別ができない。

しかも、さらに混乱するのは、佐藤浩市が演じる「村田大樹」と村田大樹が演じる「デラ富樫」の切り替えが妻夫木聡監督の「カット」で行われるのだが、「村田大樹」の演技自体が演劇的に演出されているので、どこから村田でどこからデラなのかメリハリがない。もちろんその行き違いが面白いというのだろうが、残念ながら成功していない。もともと佐藤浩市という役者は大根なのだが。

おそらく、三谷幸喜はウッディ・アレンが『カイロの紫のバラ』でやった映画の世界と現実の世界の往来ではなく、映画と演劇の形式上の違いを利用して、そこから生まれるチグハグの面白さをねらったのではないか。『カイロの紫のバラ』があくまでも想像世界と現実世界のパラレル・ワールドの対立なのにくらべ、『ザ・マジックアワー』は映画と演劇の「芸術形式」の齟齬だから、ウッディ・アレンより三谷幸喜の試みはより大胆なモダンニズムへの挑戦といえる。

映画と演劇の違いはその文法にあるのではなく、映画のリアリズムと演劇の象徴性の表現の相違にあるのだ。映画の技法をいくらまねしても、映画のリアリズムを理解しないかぎり、退屈な作品が生まれるだけだ。

初期の映画は舞台劇を観客席から撮ったようなものだが、それが次第にカメラが舞台の上にあがるようになった。クローズアップは演劇では不可能な映画の技法で、これは舞台化粧ではなく、ハリウッドのメイクアップの革新によって可能になった。とうぜんこのことは三谷幸喜も知っているわけで、佐藤浩一が車の中で目尻に陰をつけるのは、彼が舞台化粧をしているのだ。そのあと機関銃の取引に行き、物陰からあらわれるのだが、目に隈ができていて、笑うべきところだろうが、笑い損なってしまうのは、くすぐりにしか思えないからだ。

引用、パロディ、オマージュ、盗用など盛りだくさんだが、映画と演劇の融合には失敗したようだ。
2009.08.28[Fri] Post 17:21  CO:0  TB:0  映画  Top▲

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