ART TOUCH 絵画と映画と小説と

もとは美術展評のブログ 絵画と映画と小説と、そして哲学を少々

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.--[--] Post --:--  CO:-  TB:-  スポンサー広告  Top▲

COMMENT

NAME

SUBJECT

BLOG/HP

PASSWORD

COMMENT

SECRET: ※非公開コメントにしたい場合はBOXにチェックをして下さい ⇒ 

SUBMIT: 送信 

TRACKBACK

スポンサーサイト のトラックバックアドレス
http://petapetahirahira.blog50.fc2.com/tb.php/61-5f4855ed
 ⇒ この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

町田久美(3)

町田久美と「ぬり絵」

 以下の文は、しばらく前に書いて、アップしなかったものだ。現代美術の複製や引用の問題が分からなくなったからだが、とにかく、少し付け足してアップしておきます。

 Readerさんという方から、町田久美のデジタル・プリントの作品について間違ったことを書いているとの指摘があった。プリントのコピー紙は雪肌麻紙ではなく洋紙であること、手彩色したのはコンパクトではなく、爪であることの二点です。お詫びして、訂正いたします。
 もう一つは、作品を評価するなら作家のインタビューを読み、作品の制作年代を確認すること(作品の変化を見ること?)が必要だという指摘です。
 
  *
 第一の指摘は、おそらくわたしの全くのいい加減さで、じつはギャラリーに入ったすぐに展示してあった『装置』にがっかりして、余りよく見ずに、あとで女房から聞いて、自分勝手に推量したのです。
 『装置』を複製ポスターと決めつけるために、そんな赤いところだけ手で塗っても別の作品とは言えないよという結論を急いでだしたかったのです。
 Reader氏の指摘で気づいたのだが、手彩色した爪が白なら(例によってはっきり憶えていない)、コンパクトの赤はともかく、ヘルメットやスカートの白はどうしたのだろう。市販のプリンターには白のインクはなかったはずだが、印刷会社の印刷機には白もあるのかもしれない。
 プリント用紙が白で背景の色がインクの色なのだろうか。あるいは爪は白ではないのだろうか。それならなぜ爪だけ手で彩色したのだろう。町田久美が爪にフェティッシュな拘りを持っているのはしっているが。
 爪を手彩色にしたのは、技術的な問題なのか、それともオリジナル性を与えるためなのか、あるいは、これは高級な複製なのか、それとも自分の作品のコピーを利用したアートなのか、わたしは、いまのところ高級な複製と考えているが、ほんとうのところはわからない。
 いずれにしろ、digital print, hand paint on paperというのは紛らわしい。版画はエッチングもリトフラフも含めてプリントだし、もちろんインクジェットでプリント・アウトしたものもプリントだからだ。写真のこともプリントというし、デジタル写真もある。
 わたしにとって、どこを手彩色したか、どんなプリント方法か、用紙の種類はなにかという問題は、ちょっと弁解がましいが、あまり重要ではなかった。複製の品質が問題だったのだ。すでに述べたとおり、子細に点検したわけではないが、『会議』と見比べても、それほど品質が劣るとは思えなかったし、恥ずかしいことにプリント用紙も雪肌麻紙と間違ったくらいだ。
 おそらく、墨と顔料(炭素?)の性質や、雪肌麻紙とプリント用紙の滲みぐあいが、ちょうど良く、町田久美の墨の線描が顔料を使ったプリンターにマッチしていることが大きいのではないか。
 鑑賞するためなら、なんの遜色もないプリントが、10万円というのは、「サイン入り」だし、高くはないだろ。もし『装置』ではなく、『儀式』だったらわたしも購入したと思う。
 
 作家から見た場合、複製あるいはプリントを作るということは、どういう意味があるのだろう。ポップ・アーティストがTシャツや雑貨やポスターに印刷して安く大量に売ることもある。ホックニーのように、みんなに安く楽しんでもらうには、ポスターにすればいいと考えている作家もいる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 以上が、以前に書いたものです。
 ちょっと、苦しい弁解になっていますが、以下、新しく付け加えたものです。

 僕がはじめて町田久美を評価したのは、東京都現代美術館の『日本画から/日本画へ』展で、町田の線に、松井冬子の線にはない不気味なものを発見したからだ。そのとき書いたブログから引用すると

 「町田の線がこれから、どう変わっていくのか分からない。コンピュータにも描ける退屈な線になってしまうのか。あるいはイラストレーターのおしゃれな線になってしまうのか。それとも、あの不気味なものの正体が姿を現すのか。
 ただ、主題の中にアメリカ向けのニオイがするのは少し気になる。いずれにしろ、西村画廊の個展が楽しみである。」http://petapetahirahira.blog50.fc2.com/blog-entry-40.html#more

と、書いた。
 そのあと、西村画廊の個展に行き、町田の線の不気味さが、「触覚的ナルシズム」という主題の不気味さになって現れたと感動する一方、依然として

 「これらの触覚的なものは、町田の魅力ではあるのだが、わたしが町田の線に期待した魅力ではなく、イラスト的物語的な魅力なのだ。今回の作品の線は、描写する線であり、足や手や頭の形を説明する線なのだ。町田の線には、描写の軌跡から逸脱しようという暗い欲望が感じられるのだが、その欲望は今回の展覧会ではイラスト的な描写のために抑圧されているように思える。
 また、ジャポニスム的なものや澁澤的なものの誘惑に抵抗できるかどうか、ネットをみれば、ファンクラブのようなものが、すでにあるらしく、そのうち、リトグラフを大量に作り出し、堕落の道をたどる虞もじゅうぶんにある。」

と、危惧していたのである。
そして、今回のグループ展で、町田のデジタル・プリントをした作品を見て、なんだ、やっぱり町田の作品は挿絵を印刷するための下絵だったのかと、「がっかり」したのだ。スカートを穿き、ヘルメットをかぶり、手にコンパクトを持った可愛い子供ものキャラと見えないだろうか。一見、ハイ・ブローに見せているところは、むしろキッチュの危険性が見て取れるのだが。
 もう、一つ付け加えておかなければならないのは、愚妻の意見で、僕たちは、町田久美の評価に関して、はじめから、あまり意見が合わなかったのだが、ただ、『郵便配達夫』がつまらないということでは、意見が一致していたのだ。僕は、古い作品に手を加えた、イラストにしか見えない失敗作だと善意に解釈していたのだが、愚妻は、『郵便配達夫』はただの失敗作ではなく、町田久美のつまらなさを象徴的に表している絵だというのだ。
 僕は、『触覚的ナルシズム』を持ち出し、それがいかに視覚的ナルシズムと違うかと、町田のエロティスムを論じるのだが、古妻、一向に譲らない。という冷たい状態がしばらく続いたのだが、僕が「ただ、嫌いだ嫌いだ、じゃわからない、何処の何が嫌いか、ちゃんと説明出来なきゃ」というと、彼女しぶしぶと『郵便配達夫』が大きな「ぬり絵」に見えるというのだ。キャラクターの頭が大きくて、色が塗りやすいように図案化された線、そして郵便屋さんごっこしているところは、むかし見た「ぬり絵」を思い出して、いやーな感じがする。ぬり絵は、どうみても「子供なんかこの程度で良い」という感じがして、子供ごころにも不愉快で、ぬり絵をするのが大嫌いだったというのだ。
 女房は、最後に「『郵便配達夫』を色鉛筆で塗っちゃいたいわね」といって笑うのだ。
 わたしのブログの読者なら承知だろうが、彼女は現代美術の知識は皆無なのである。それが、現代美術のキーワードである「ぬり絵」を持ち出して、町田久美を批評するのだ。信用しないわけにはいかない。
 私はちょうど村上隆の『芸術起業論』を読んでいて、彼のスーパーフラットの中に漫画といっしょにぬり絵もふくまれていること、そして、パリのカルティエ現代美術館で『ぬり絵』展が開催されたこともしっている。(やれやれ、またもカルティエ財団か)
 そして、ポップ・アートの擁護者たちが、さまざまな理論を展開して、上で述べた私の評価に対して、だから面白いんだ、おまえは分かっていないと反論するだろうが、私には、そんなことは、どうでもいいことだし、サブカルチャーとハイ・アートの総合なんてなおされ興味のないこと、ただただ面白い絵を見たいだけなのだ。
 町田久美について論じることは、ひとまず、これで終わりにしたい。といっても、わたしは町田久美がイラストレーターだと断罪しているわけではない。それに彼等が、イラストとファインアートを区別していないことも知っている。ただ、いまのところ、町田久美のあたらしい作品を待つほか、われわれには、さしあって出来ることはなにもない。
 また、個展があれば、見に行って、何か新しい発見があれば、ブログに書くつもりだ。町田久美が日本でもっとも才能のある若手の一人であることは間違いないのだから。 
   







にほんブログ村 美術ブログへ


 

 
 
 
 

 
 
 
2006.08.31[Thu] Post 00:28  CO:0  TB:0  -町田久美  Top▲

COMMENT

NAME

SUBJECT

BLOG/HP

PASSWORD

COMMENT

SECRET: ※非公開コメントにしたい場合はBOXにチェックをして下さい ⇒ 

SUBMIT: 送信 

TRACKBACK

町田久美(3) のトラックバックアドレス
http://petapetahirahira.blog50.fc2.com/tb.php/61-5f4855ed
 ⇒ この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

Log in*/RSS*】  Design 「AZ+」Plugin Template...  Page Top▲
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。