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吉原治良

吉原治良展(東京国立近代美術館)★★★★

 良いも悪いも旦那芸

吉原治良

スレッド:絵画 / ジャンル:学問・文化・芸術

*
アート度{2}:一時タピエのアンフォルメルの影響があったが、アートに堕落することはなかった
目立つ度{4}:「黒地に赤い円」は吉原の登録商標
美術度{2}:技術はそれほどではない。
おしゃれ度{1}:レトロにはならないでしょう
絵描き度{1}:稼ぐ必要がなかったけれど
恍惚度{1}:大家にならず、常に新しい試みをした。「円の時代」は惚けの始まりか


 吉原治良は日本の現代美術で重要な役割を果たした作家なのだから、わたしのような年寄りではなく、若い美術学生もたくさん来ているだろうと会場に行った。ところが、あに図らんや、会場は閑散として、若い来場者は見かけず、ぽつりぽつりいる客もみな老人ばかりだった。
 中に、開襟シャツにパナマ帽を被り、よろよろしながら熱心に抽象画を見ている老人がいた。抽象画をなぜそんなに近くで見るのか怪訝だが、老人は夢中のあまり、ガムテープの禁止線を越え、そのたびに女性監視人に注意され、注意されるたびに失敬々々と隣の絵に行くのだが、また、踏み越えるという具合で、女房は、それがおかしいと、わたしを突つくのだ。
 まあ、絵を傷つけるわけでもないのだから、ほっといてやればいいと思うが、そうもいかないのだろう。この老人は、きっと自分の若かった頃のことを思い出し、懐かしんでいるのだろう。

 それにしても、若い人がいないというのは、どうしたわけだろう。
 この展覧会は吉原治良の生誕100年記念のサブタイトルで、大阪名古屋東京仙台と一年かけて全国を巡回する大回顧展なのだから、もう少し若い客を集めてもよいと思うのだが、あまり話題にならないようだ。
 というのも「具体」派は、若いメンバーが過激な実験をしていたのに比べ、主宰者の吉原はいっときは絵の具の塊をこすりつけたような絵を描いていたが、その時期を除いて、終始一貫して、オーソドックスな抽象画を描いていたからだ。アート志向の現代の若者には、海外の動向が重要だが、いくら吉原が海外で認められたといっても、昔のこと、今さら、見ても仕方ないのかもしれない。
 吉原の抽象画は海外の作家の影響が見て取れるけれど、どれも、吉原の日本的な美的感覚が生かされており、この美的感覚が、『円』の書道的な抽象画につながっていくように思える。吉原の『円』はシュプレマティスムでもミニマリスムでもなく、日本的な調和や無や余白の美なのだ。
 吉原の抽象画がそれなり美しいと思うのだけれど、それはデザインや模様の美しさで、たとえば、モノ派の李禹煥などに共通する物足りなさがある。
 わたしには、抽象画より具象画のほうが面白かった。二科会の第九室に参加する以前の風景画に、芦屋の造成地を描いた風景画(風景B)があるのだが、自然と人工が重なりあった風景の中に地図の看板や階段、池などがあって、まるでホックニーの逆遠近法で描いた風景画のように仕上がっている。
 また、抽象画が描けなかった戦争中の絵には、おそらく前衛の洗礼を受けたためだろう、一層魅力のある具象画を描いている。中でもわたしが好きなのは『潮干狩』で、これは、禿げた筆でカスレたように描いた浜辺で、潮干狩りや釣りをする人が蜃気楼のように浮かんでいる幻想的な絵なのだが、戦争中の画家の孤独が見事に迫ってくる絵である。
 吉原は「他人の真似をするな」という藤田の言葉にしたがって、いろいろな試みをするが、抽象画を除いて、どれもが未完成だったような気がする。
 
 戦後、吉原が「具体」のパトロンとして、凡庸な抽象画を描いたことを、わたしは残念に思うものである。もう少し、長生きしていれば、ふたたび具象に戻って、こんどこそ誰の真似でもない自分の絵を完成できたかもしれない。それは今となってわからない。
 彼が本来持っていた日本的な美的感覚は、抽象画において最も生かされているのかもしれない。 
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2006.07.13[Thu] Post 23:07  CO:0  TB:0  美術展評  Top▲

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