ART TOUCH 絵画と映画と小説と

もとは美術展評のブログ 絵画と映画と小説と、そして哲学を少々

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.--[--] Post --:--  CO:-  TB:-  スポンサー広告  Top▲

COMMENT

NAME

SUBJECT

BLOG/HP

PASSWORD

COMMENT

SECRET: ※非公開コメントにしたい場合はBOXにチェックをして下さい ⇒ 

SUBMIT: 送信 

TRACKBACK

スポンサーサイト のトラックバックアドレス
http://petapetahirahira.blog50.fc2.com/tb.php/502-b94599cd
 ⇒ この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

古谷利裕と岡崎乾二郎の「視覚心理学的絵画論」(グリーンバーグ4)

これまで三回にわたって、古谷氏の批評文『セザンヌと村上隆を同時に見ること』ついて述べてきたが、正直にいうと、うまくいかなかった。というのは、わたしのせいもあるが、古谷氏の論も混乱しているからだ。

繰り返すがグリーンバーグはフォーマリストではないし、モダニズムはフォーマリズムのことではない。モダニズムは、絵画の物理的層、すなわちメディウムをイリュージョンによって隠さずに、むしろ積極的にそれに注意を向けたのだ。平面性というのは何よりもまず支持体の物理的形状のことであり、これが空間のイリュージョンと緊張関係におかれるのだ。

しかし、古谷氏の絵画分析は、絵画的pictorialなものと視覚的opticalなものを含めたイリュージョンと絵画のメディウムの間の弁証法的緊張に留意することよりも、もっぱら視覚的なものをフォーマリズムの立場から分析しているようだ。もう一度、『セザンヌと村上隆とを同時に観ること』から引用する。

しかし実はこの絵は、全体を一挙に観ることは出来ないように描かれている。(無理矢理、全体を一挙に見ようとするならば、「絵具のこびりついたカンバス」という物質として見るしかない。勿論、この絵にはそういう次元もある訳だ。)我々の視線は、ある時は、描かれたある事物ともう一つの事物との対応関係を見ていたり、またある時は画面のなかをリズミカルに動きまわる筆致の動きを追っていたり、ある時は白から緑、緑から黄色、黄色から赤へと微妙なニュアンスで変化してゆく色彩の震動を感じていたりするというような、視線の「動き」として、部分と部分、要素と要素を動きながら繋いでゆく、見るという行為の「持続」によって、この絵を捉えてゆくしかないのだ。

ここで、岡崎乾二郎氏を思い出した。かれの自作へのキャプションを引用する。(注1)

「ディプティック(二幅対)の絵画作品。右と左のキャンパス間には、複雑かつ厳密な呼応関係が見出される。たとえば色彩やマティエールの異なる同一形態の反復。あるいは一方のキャンバスに「図」として現れた筆触が、もう一方では、おなじかたちの「地」としてあらわれるなど。左右のキャンバス間の呼応関係を追い求めるように視線の往還を繰り返すうち、観者は、個々の筆触が置かれた位置、物理的な枠組みとしてのキャンバスといった「場所の固有性」を、識別することが困難になるようなめまいに見舞われる。」

同じような視覚心理学的な現象の記述がみられる。古谷氏はセザンヌについて、岡崎氏は自作の二幅対について。ついでに両者の作品を比較する。

古谷利裕の作品:http://www008.upp.so-net.ne.jp/wildlife/kaiga.html
岡崎乾二郎作品:http://kenjirookazaki.com/#/jp/1/1/

どうだろう、似ていると言えば似ているし、似ていないと言えば似ていない。古谷氏の作品は抽象表現主義とアンフォルメルと自動速記(オートマティスム)の模倣。岡崎氏の方は何だか良く分からないところが独創的に見えるが、アクション・ペインティングを小分けにして箱に詰めたお土産品のようだ。

絵画の神髄は、視覚的な効果ではなく、絵画的なイリュージョンとメディウムの弁証法的な戯れにこそある。

「図像に還れ」

つづく

注1:『わたしいまめまいしたわ』展だったと思う。今、カタログが見つからないので確認できない。
2009.04.02[Thu] Post 01:26  CO:0  TB:0  絵画の現象学  Top▲

COMMENT

NAME

SUBJECT

BLOG/HP

PASSWORD

COMMENT

SECRET: ※非公開コメントにしたい場合はBOXにチェックをして下さい ⇒ 

SUBMIT: 送信 

TRACKBACK

古谷利裕と岡崎乾二郎の「視覚心理学的絵画論」(グリーンバーグ4) のトラックバックアドレス
http://petapetahirahira.blog50.fc2.com/tb.php/502-b94599cd
 ⇒ この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

Log in*/RSS*】  Design 「AZ+」Plugin Template...  Page Top▲
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。