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『Art of our time』世界文化大賞展(上野の森美術館)絵画部門(2)

ザオ・ウーキーとアンゼルム・キーファーの謎

スーラージュの《絵画,1987》を見た後、ウーキーの《アンドレ・マルローに捧ぐ》とキーファーの《マイスタージンガー》を交替に見た。というのも、歩きながらちらちら見ていると、両方の絵にステレオグラムの立体感が出現したからだ。それで二つの絵を比較して見たのだ。この立体感は絵画的な遠近法の奥行きではなく、明らかにステレオグラムの錯視の立体感だ。

この立体視は、ウィーン美術アカデミー名品展(損保ジャパン美術館2006年)で、ローベルト・ルスの≪ベンツィンガー・アウの早春≫の木立の枝を見たときと同じ立体感で、ためしに、首を左右に振ってみたら、紛れもなく、ステレオグラムの立体視だった。

他でも、風景画の木立の枝の絡まりがステレオグラムに見えたことがあり、スティーブン・ピンカー(『心の仕組み』)の「壁紙ステレオグラム」の立体視かと考えたけれども、頭を横に振ったり、歩きながら見たときに立体感が強まるので、壁紙ステレオグラムとは違う現象かもしれない。

カタログで二つの絵を子細にみたけれども、かすかに立体視らしき現象が現れるが、美術館で見たようなステレオグラムの立体視まではいかない。もちろん絵画的な奥行きのイリュージョンはどちらの絵にもあるけれど、キーファーの方が明暗と形態の前後の重なりによって奥行きのイリュージョンはより強く表れている。黒い背景に茶、赤、黄、白とより明るい色が上に重ねられている。隠されている形態が隠している形態より後ろにある。また暗い色は後退色で、明るい色は前進色である。そして一番上に黒で数字が書かれている。数字などの文字記号は絵画的空間のイリュージョンとはまったく別の空間的凝集力をもって、支持体の平面にへばり付いている。

ウーキーの空間はキーファーの空間より曖昧である。基本的には明るい色が地であり、黒ないし焦げ茶の濃い色が図になっている。キーファーの逆であるが、地と図が逆転したり、曖昧になっているところもある。

以下は推測である。
立体視が生じるのは、擦ってボケけたように見える箇所があるからではないか。キーファーの絵は、2と4の数字が書かれた箇所、それからウーキーの絵は、地と図の中間の領域がかなり広範囲にわたってこすられたようにボケている。このボケとボケていない領域は、通常、キャンバスの同じ平面上に知覚されている。ところが、人間の目はボケを見ると焦点が合っていないような感じがして、視線の輻輳・開散とレンズの焦点が混乱し、それを調節しようとする。しかし、壁紙ステレオグラムのように同じ模様があるわけではないので、なかなか調節できない。

そこで、頭を左右に振ることで、視線の輻輳・開散と焦点を混乱させることで、ボケていない箇所がボケている箇所より手前、あるいは向こうにあるように視線の輻輳・開散を調節するのではないか。この推理がただしいなら、キーファーのは前ボケで、ウーキーのは後ろボケになるはずだ。

しかし、木立の枝がステレオグラムになることを考え合わせれば、重要なのは、ボケではなく、両者の絵に共通の線分の繰り返しが重要な役割を果たしている可能性もある。とすれば、ピンカーのいうランダムドット・ステレオフラムの類とも考えられるが、正確な解明は知覚心理学に任せるほかない。いずれにしろ、この立体視によって現れる空間は、モダニストたちが探求した空間とは異なるものだということをわすれてはならない。

これまでも、ウーキーはブリジストン美術館で、キーファーはセゾン美術館でみたことがあるが、感動はしなかった。今回も、とくに感動したわけではないが、立体視が抽象画の空間のイリュージョンと密接に関わっていることに気づかせてくれただけでも大きな収穫だった。 


2008.11.29[Sat] Post 02:26  CO:0  TB:0  美術展評  Top▲

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