『ウィキペディアで何が起こっているか』 山本まさき/古田雄介 これからWikipediaがどうなるかはわからない。われわれは現在のところ、何かを調べるとき直接Wikipeidiaにあたることはない。たいていは検索エンジンを使って調べる。そうすると、そこにはブログや2ちゃんねる(掲示板)やWikiやHPやyoutubeそしてネット新聞が現れるから、そこから適宜選び、比較しながら読むのだ。 そういう競争の中でWikipediaがどうなるかはわからないが、わたしは今のままでは成功しないと思う。左翼右翼の編集合戦はともかく、わたしが利用する美術のことに限って言えば、Wikipediaは全くやくにたたない。英語版は教科書的なことが書いてあるので辞典的な使い方なら役に立たないこともないが、日本語版は何の役にもたたない。そういうことでは、いちばん役に立つのは2ちゃんねるだ。いろんな意見がでるが、しだいに至極まっとうな意見に収束するように思える。そのかわりひどくノイズが多くて、読むのにくろうする。スレ全部読んでも何も無いということがほとんどだ。2ちゃんねるが駄目になるのは誹謗中傷ではなくノイズが多いため、だれも面倒くさくて読まなくなることだ。便所の落書きは、書く方は自己満足するらしいが、読む方は苦痛だ。こんな2ちゃんねるがつづいているのは、たぶんつぶれない程度に内容があるからだ。 名誉毀損は何も2ちゃんねるの独占ではない。新聞も捏造中傷をする。違うのは、2ちゃんねるは私人の名誉毀損プライバシー侵害をすることだ。これは何とかしなければならない。しかし、2ちゃんねるは新聞の書かない公人のスキャンダルも書くのだ。だから、2ちゃんねるを一つのものとして論じるわけにはいかない。 2ちゃんねるの問題は匿名の問題ではなく、編集権の問題かもしれない。2ちゃんねるは編集権を放棄している。ところが、Wikipediaは、いろいろのルールはあるが、最終的に閉鎖や削除する編集権をWikipediaが持っている。そのため編集合戦ではなく、名誉毀損やプライバシーの侵害をたてにした強迫に容易に屈してしまうことになる。このことは、著者も気づいており、某宗教団体の例をあげ、くりかえしWikipediaに警告している。編集というのはたとえそれが名誉毀損をチェックすることであっても検閲制度には違いない。新聞は真実かどうかチェックすると言いながら、自分たちのイデオロギーに都合がよいかどうかチェックしているだけなのだ。 Wikipediaは便所の落書きにならないなら、肝心のことが書かれていないつまらない百科事典になるだろう。一番危惧されるのは、あきらかに間違っていることが、両論併記されることで、あたかもそれが真実の可能性があるかのごとき印象をあたえることだ。このことは、いずれ2ちゃんねるの問題とあわせて考えてみたい。 TRACKBACK
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