テレビドラマはほとんど見ない。NHKの大河ドラマと連続テレビ小説は、自慢じゃないが、見たことがない。それがどういう訳か『篤姫』を何回か続けて見た。幕末のことを知っておくのも悪くないと思って、ちかごろつまらない『新日曜美術館』のかわりにみた。これがなかなかおもしろいのだ。何がって、篤姫(宮崎あおい)が強いところがいい。それと家定役の俳優堺雅人のうつけの演技がなかなかよろしい。
ところが、ニョウボは「うつけ」とは何だと訊く。ニョウボはわたしと一つ違いだ。それなら「うつけ」ばかりか「たわけ」も「しれもの」もしっているはずだが、しらないという。たぶん、女の子と男の子は遊びが違うし、読む本などもちがったからだろう。たぶん東映映画も見ていないのだ。チャンバラをしていれば、この言葉は使ったことがあるはずだ。
それはともかく、まずいことに、『篤姫』の脚本が田淵久美子で、それを知ったニョウボが『篤姫』なんか見ないというのだ。なんでも、田淵久美子のシナリオ講座に出席したときのこと、「わたしはNHKとしか仕事をしないの」といって、自慢話をえんえんと聞かされたらしい。それに、かきなおしでホテルに缶詰だといって、講座に欠席ばかりする。出てくると大きなルイ・ヴィトンのバッグを事務員に運ばせて、あごで「そこにおいて」と言ったという。まるでテレビドラマだ。そのとき書いていたシナリオが小泉今日子が主演した『夫についての情報・病に倒れ意識不明の夫の生還を待つ妻が知った夫の真実』(芸術祭参加)だったのではないか。
そのころNHKのインタービュー番組に田淵久美子氏が出ていたが、ずいぶんと肌を見せた薄もののドレスを着て、きゃぴきゃぴと若い娘のように振る舞っていたが、ついに大河ドラマの脚本を書くまでに出世したのは喜ばしいことだ。ニョウボは見なくたってわたしはしばらく『篤姫』見るつもりだ。
家定がハリスとの接見で、歌舞伎の見得を切ったのを、将軍が能ならわかるが、庶民の芸能である歌舞伎はおかしいと、小谷野敦が指摘しているのはもっともである。NHKがもちろんチェックしているのだろうから、時代考証よりも視聴率を重視するNHKの方針のためだろう。薩摩時代の幼なじみとの初恋は見ていて恥ずかしくなったが、江戸に来ての家定とのやりとりはなかなかよくできたトレンディ・ドラマだ。しかし、家定亡きあとの篤姫の魅力がどうなるやら、田淵久美子のお手並み拝見である。期待しています。
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