スーチー女史と山口洋一
ネットサヨクたちは人権と民主主義という言葉を繰り返して恍惚となっている。
わたしは落合信彦ではないから、CIAに友達はいない。ただ、自宅軟禁を解かれたスーチー女史の映像に違和感を持ったことからすべては始まっている。その違和感を山口氏は説明してくれた。だから山口氏の言っていることは全部が嘘だとはおもわない。
結論を先に言う。今度のミャンマーのデモ騒ぎは、「希望の星」作戦に失敗したCIAが、こんどは「サフラン革命」という作戦を立て、再度失敗したということだ。ようするにCIAはスーチー女史の利用価値がなくなったので、こんどは、坊主たちを利用したのだ。そう考えると、すべての謎は解ける。
ノーベル賞まで授与させたのに、なぜCIAはスーチー女史を見捨てたのか。日本のマスコミにはスーチー女史を希望の星にしようと焦っていたが、ミャンマーではあまり盛り上がらなかったようだ。たぶんイギリス諜報部とCIAのあいだに意見の違いがあったのだろう。イギリスは相変わらず希望の星作戦を続けたいのにたいし、アメリカはウクライナで成功したオレンジ革命の二番煎じをねらったのだ。CIAにとってウクライナのオレンジ色のカラー革命は強烈な成功体験だった。そこで目に付けたのが法衣のサフラン色である。宗教ではなく色を利用したかったのだ。
朝日新聞は、こんどのデモ騒ぎでスーチー女史が活躍できなかったのは、軍事政権側の弾圧が成功したからだといっているが嘘だろう。軍事政権側は弾圧なんかする必要はなかったのだ。軟禁なんか解いてもよかった。その証拠に国連特使が来ても、ちっとも盛り上がらなかったではないか。
おそらく山口氏の言うように、スーチー女史はもはや人気がなくなっている(あるいは温存しているのかもしれない)。だからCIAは彼女から僧侶に乗り換えたのだ。もともと彼女の人気は欧米の情報機関の工作の結果なのだが、山口氏の言うように、それを生かすだけの「国家ビジョン」が、スーチー氏にはなかったのだ。あるいは生活が以前よりましになっているのだろう。
CIAと通じることは必ずしも悪いことではない。岸信介はCIAはもちろん暴力団とも通じていた。しかし、彼には憂国の情があった。スーチー女史に憂国の情があるのだろうか。憂国の情なくして外国の情報機関と通じる者を売国奴という。
山口氏のいっていることは半分本当だと思う。しかし、かれは半分の本当を言うことで、あとの半分の本当を隠しているのだ。週刊新潮の特別記事で山口氏は中国の華僑植民地主義について一言も触れていない。山口氏が中国の工作員かどうかは判らない。しかし、彼が偏った情報を流していることはまちがいない。
アメリカは軍事独裁でも親米なら認めるし、中国のように一党独裁でもアメリカの企業が利権を得られれば黙認するのだ。
かってヨーロッパの植民地主義者は宣教師を先頭に侵略をした。そしていまは民主主義を言い立てるジャーナリストを先頭にグローバリズムという名で、アジアの植民地化を目指しているようにおもえるが、これは妄想なのだろうか。
サフラン革命へ