ART TOUCH 美術展評

久米宏のCAR TOUCHにならって、五つの項目に分け、5点法で美術展を評価します。美術展を楽しみながら、現代美術理論の理解を深めます。

ART@AGNES(1)

 前日、一人で下見のつもりでART@AGNESへ行ったけれど、駐車場を探して神楽坂を行ったり来たりしたあげく、どこも満車で結局見ずに帰った。翌日は、少し遠かったけれど欲張らずに駐車した。ホテルまでの途中パーキングが三カ所あったけれど、どれも満車だった。なんか理由もなく得したような気分になった。
 ホテルには裏口から入るようにと誘導され、途中見上げると四階のベランダで、若い男が上半身裸でなにやらもぞもぞしている。それを見て、女房が、「あっ、アートだ」と言う。また、始まったと、「あれは、ホテルの客が朝の体操をしているのだ」と言ったものの、男のわざとらしい動きは、どう見たってパフォーマンスとしか思えない。結局、あとで山本現代の『男は黙って背中で語る』というパフォーマンスで、何やら踊っているよう見えたのは、自分の背中にクレヨンでイタズラ描きをしていたのだと判った。
 入り口で五百円の入場料を払って入った。美学生らしき若者でいっぱいで、IDカードを頸からぶら下げた関係者もたくさん廊下を歩いている。外国人もいる。狭いホテルの部屋がそれぞれ一つのギャラリーになっているので、客が入り口に溢れている。とにかく31室全部見るのは大変である。部屋はどれも似ているので、順番が判らなくなる。エレベーター・ホールといっても狭いコーナーに人が腰を下ろして休んでいる。熱心に部屋割りの紙に何やら書き込んでいる女がいる。廊下の真ん中でギャラリーの人だろう大きな声で立ち話をし、若い女性がキャッシュ・カードの機械を抱えて廊下を血相を変えて走っている。若い太った女が二人、部屋の真ん中で、突然、久しぶりだと言って抱き合って、ぴょんぴょんはね回っている。
 このフェアは今年で三回目で、一般に公開したのは初めてらしいのだが、とにかく、三十一の現代美術のギャラリーをいっか所で見られるのだから、500円の入場料は安いだろう。しかし、これだけの作品を次から次と見て行くのは、ちょっと疲れる。注意力が散漫になって、どれもこれも同じに見えてくる。一度どこかで見ているもの、知っているものに眼がいってしまうのはしかたない。プライスリストには随分と赤丸が付いていたが、こんな混乱の中でよく買い物が出来ると感心する。
 こういうときはあまり真面目に作品を見ない、向こうから迫ってくる作品を待つようにする。ノラリクラリが一番である。何が迫ってきたかは次回に書くとして、今回は、目下のニッポンの美術業界の雰囲気を知ろうと気軽にぶらぶらと散歩のつもりで見て回った。ギャラリーの世界は何か女郎屋に似ている。売れっ子を抱えている亭主は威張っている。そして、だれもが、とんでもない玉で客を騙そうとしている。そろそろ日本も美術バブルの兆しが現れたのかも知れない。注意しよう。
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2007.01.15[Mon] Post 13:13  CO:0  TB:0  美術展評  Top▲

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