ART TOUCH 絵画と映画と小説と

もとは美術展評のブログ 絵画と映画と小説と、そして哲学を少々

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黒田アキ(2)

art@agnesで見て、ちょっと気に入っていた黒田アキの同じ絵が「アートフェア東京2007」のmori yu galleryに展示してあった。フェアのカタログに載っている"sans titre"2006という作品である。art@agnesでは床に置いてあったが、こんどはちゃんと目の高さに掛けてあり、正面から見ることができた。絵の下部に、お絵かきソフトのツールのように、白と黒の絵具を擦りつけたあとが四つ五つ並んでいると、前回書いたのは、年月日で、「2006.09.**」と読める。
 art@agnesの展評とき、黒田アキの評価は、他の作品を見てからと書いたのだが、"sans titre"を再度見て、ちょっとオシャレなポスターにしか見えなかった。はじめて見たときは、drawingとpaintingの緊張が関係が素晴らしいと思ったのだが、今回は、なんか気取ったテクニックだけが透けて見えて、あまり感心しなかった。
 随分といい加減な鑑賞眼だが、たぶんいい加減なのはわたしの目だけではなく、黒田の絵のほうもいい加減なのだとひとまず弁解しておくが、それにしても、近頃自分の絵を見る目に自信が持てない。しょっちゅう評価が変わってしまう。もちろん変わらないものもある。例えば、ジャコメッティやロスコやクレーの評価はあまり変わらない。彼等の作品の傑作と駄作を自分なりに区別することもできる。あるいは千住博の滝やシュヴィッタースのコラージュは誰がなんと言ってもつまらないと思う。ところが、黒田アキの"sans titre"のような絵になると、とたんに判らなくなる。オシャレだから人目を惹くし、ノンシャランに描いて、その遊び心が好感が持てる。少なくとも、村上隆のドブくんよりもキャラクターとして気が利いている。(尤もキャラクター商品としては図案化が足りないけれど)
 ということで、"sans titre"の評価を変えたのだが、それは、黒田の他の作品をみたからでもある。見たといっても、ネットで見ただけなのだが、なにかアール・デコ風(?)のデザイン画のようで、昔の日活映画で石原裕次郎が暴れたりするキャバレーのインテリアがこんな感じだった。それから、前回、黒田の絵をマチスの切り絵風と言ったけれど、それは間違いだ。マチスの切り絵には、色や形、平面と空間などにモダニスムの格闘があるが、黒田の絵には平面的な装飾デザインがあるだけだ。
 というぐあいに、どうも自分の鑑識眼に自信がなくなったけれど、それでも、この「ART TOUCH 美術展評」は、面白かツマラナイかまず絵を見て自分で判断するという方針には変わりない。"sans titre"は可愛くてオシャレな絵だと思います。
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2007.05.08[Tue] Post 23:56  CO:2  TB:0  -黒田アキ  Top▲

黒田アキ

ART@AGNES で一番印象に残った作家は黒田アキである。  それはモリユウ・ギャラリー501号室の壁に立てかけてあった。白と黒の絵具を指で擦りつけ、引き延ばし、掻き回して、ウサギのようなキャラクターを描いている。はじめは、なぜ、そんなdrawingでもpaintingでもない、daubingしたような絵に惹き付けられたのか、自分でも解らなかった。  絵具を掻き回したところは、白髪一雄の足で描いた絵画に似ている。そこからキャラクターが現れるところはデ・クーニングの女の絵を思い出させる。しかし、黒田の絵には、二人にない緊張感がある。だから、こんな通俗的な技法で描かれたヘタウマのキャラクターに、自分でもまさかと思うのだが、強く惹かれるのだ。  もちろん「ヘタウマ」というのは、しりあがり寿のようなドローイングのことだろう。黒田の絵は、絵具の痕跡であって、ドローイングではない。しかし、その物質的な絵具は、白髪のように画家のアクションばかりではなく、擦れ、伸ばされ、混じり合って形が生まれてる。デ・クーニングの女のように、キャンバスも絵具も隠して、イリュージョンをつくりだすのではない。黒田の絵具は生のキャンバスに塗りつけられているので、ウサギのイリュージョンを生みながらも、絵具は、物質的な絵具のままキャンバスにこびり付いている。  剥き出しの生のキャンバスと絵具の塊と漫画的なキャラクターが、ちょっとない面白い争いをキャンバス上で展開しているのだ。それが、ひじょうな軽さを持って絵画表面で戯れている。しかも、絵の下の方に、お絵かきソフトのツールのように、白と黒の絵具を擦りつけたあとが四つ五つ並んでいるのが、バカバカしくって、嘘くさくて面白い。山内崇嗣も、余計なことだが、ちょっとこのあたりのユーモアを学んだらどうだろう。  とにかく、黒田のこの絵が、本当に素晴らしいのか自信が持てずに半信半疑のまま家に帰った。  黒田アキは、てっきり若い女性だとばかり思っていたのだが、翌日、ネットを調べると、なんと1944年生まれのパリ在住の世界的に評価も高い作家というのだ。  それなら、私の大袈裟な作品分析も間違いではないとおもうのだが、ただ、ほかの作品の写真を見ると、マチスの切り絵風の作品などがあって、一枚の近作でどうのこうのいうのは控えておきたい。2005年には五十年の画業を纏めた個展を京都で開催したというのだから、東京では黒田の作品を纏めて見る機会はおそらくもうないのではないか。残念である。  すくなくとも、手で描いた絵のシリーズはもういちど見てみたいものだ。
          黒田アキ(2)へつづく
 
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2007.01.17[Wed] Post 14:44  CO:0  TB:0  -黒田アキ  Top▲

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