ART TOUCH 美術展評

久米宏のCAR TOUCHにならって、五つの項目に分け、5点法で美術展を評価します。美術展を楽しみながら、現代美術理論の理解を深めます。

韓国デモの不思議

韓国デモは不思議だ。他の国の北京五輪反対デモは、フリー・チベットがスローガンだった。長野でも日本人はチベットの国旗を振って、フリー・チベットを叫んでいた。ところがソウルではチベットの旗は目立たなかった。そのかわり多かったのは脱北者強制送還反対のプラカードだった。プラカードが規格化されているのだから、動員されたデモだということはわかる。べつに、世の流行にあわせろとは言わないが、少し韓国の若者はズレていないか。

そのあとすぐに米国産牛肉輸入反対のデモだった。それが、大統領選挙で圧倒的に支持されたはずの李明博の反対デモになった。そして朝鮮日報に次の記事が載った。

「大運河の建設反対」をテーマとするキャンドル集会が17日午後、ソウル広場で行われた。同集会は「狂牛病牛肉全面輸入に反対する国民対策会議」(以下対策会議)によって主催された。
同日の集会への参加者は、これまで開かれたキャンドル集会の中で最も少ない500人(警察推定、主催者側の主張は3000人)だった。対策会議が「米国産牛肉」をめぐる問題だけでなく、現政権の主要政策に対してすべて反対し、「政権退陣」を主張し始めて以来、市民たちの参加が急減している。(6/18)

これでデモも沈静化とおもったが、今日の新聞には李明博が国民に謝ったという以下の記事が出ていた。

韓国の李明博大統領は19日、米国産牛肉輸入再開問題で記者会見し、1カ月半にわたるデモの原因となった米国との牛肉交渉の拙速さを認めて「痛切に反省している」などと国民に謝罪した。一方、大統領選の公約で反対論の強い「大運河構想」について「国民が反対なら推進しない」と撤回も明言。今後の国政を民意に基づき転換するとの決意を訴えた。
李大統領の牛肉問題をめぐる謝罪会見は先月22日に続いて2度目。今週末と来週に予定される青瓦台(大統領府)再編と内閣改造で求心力回復を期す李大統領が国民の理解を求めた形だが、世論の動向は依然、不透明だ。(産経6/20)

大統領がこんな簡単に公約を引っ込めていいのだろうか。そもそも米国産牛肉輸入は韓米のFTA締結の一環ではないか。停滞している韓国経済が元気になるには、韓米FTAはどうしても必要だろう。韓国は日本と比較するのが好きなようだが、日本の米国産輸入牛肉の月齢条件が20ヶ月以下だと、つまらない比較をしないで、日本よりさきに米国とFTAの協定を結んだほうが、日本を追い越すチャンスがずっと大きくなる。韓国は、日本と同じように米国から農産物を輸入して、工業製品を輸出しているけれど、自動車などはどうしても日本にはかなわない。電化製品は低廉な中国製品に追い越されそうだ。そうなら、にっくき日本よりできるだけはやく、韓米FTAを締結したほうがよい。米国産牛肉が危ないと思うなら、輸入しても食べなければいいのだから。

と思ったら、追加交渉で、30ヶ月の月齢条件を段階的に撤廃しないことを米政府が保証しろとか、あるいは米韓の業者が30ヶ月以上の牛肉を自主規制すべきだとか、いろいろ交渉をしている。たぶんこれは誤魔化しだろう。米国は月齢条件を最終的に撤廃しなければFTAを破棄するにちがいない。この協定は韓国に有利なもので、保護主義的な民主党のオバマ大統領候補はこの韓米FTAに反対しているぐらいだ。日本と中国に挟まれた韓国はできるだけはやく韓米FTAを締結すべきだ。そして日本を出し抜いてほしい。そうすれば日本も目を覚ますだろう。

話が脱線した。デモの話にもどる。もう一つの韓国デモの不思議は、このところ反日デモがないことだ。盧武鉉のときは激しい反日デモがあった。竹島や靖国で大騒ぎしていた。でも、李明博が大統領になってから竹島も教科書もあったけれど、ネットが少しもりあがった程度でそれほど大きなデモは報じられていない。李明博を親日だと言いがかりをつけることは簡単なのに、どうも反日がもりあがらない。最近も李明博独島放棄説がネットに流れたが、これも盛り上がらなかった。左翼が反李大統領運動をするなら、狂牛病より反日のほうが有効だと思うのだが、その作戦は今のところない。狂牛病で李明博は泣いて国民に謝ったぐらいだから、親日カードを使えば李大統領を追いつめることなど簡単なのに、どうしたんだろう。





2008.06.20[Fri] Post 21:28  CO:0  TB:0  床屋政談  Top▲

オリンピック東京招致に賛成する(1)

これまでオリンピック東京招致には反対だった。といっても反対する積極的な理由があったわけではなく、開催できるなら開催しても良いと思っていた。ただ、北京の次の次に二度目の東京に招致するのはむりだし、そんなことに膨大なお金をつぎ込むのはやめて、新東京銀行を整理することが先だろうと思った。ところが、東京が一次選考を最高点で通過したと言うニュースを聞いて、それなら招致運動をするのも無駄ではないかもしれないと思ったのだ。

東京開催に賛成する理由は二つある。ひとつは、たぶん反対派の人たちがあげている「土建屋のためのオリンピック」がいま東京に必要だということだ。この土建屋オリンピックにたいする反対は64年の東京オリンピックのときにもあった。そして今回もすでに2チャンネルなどは土建屋オリンピック反対の声があふれている。

もちろん、64年オリンピックでは談合も贈収賄もしたいほうだいだったろう。それでも東京や日本のインフラ整備は進んだのだ。一極集中とか都市の美観が損なわれたというが、なにを基準にそんなことをいうのだろう。東京は江戸を基に作られたのだ。ご存じの通り江戸は立派なリサイクル都市であり、治安もよかったのだ。

東京の醜悪と言われる景観は、江戸の八百八町をもとに民主的に町作りをした結果なのだ。東京オリンピックの工事もそうだった。首都高なんてその最たるものだ。日本橋の上に高速道路を作ったのがそんなにわるいことか。美しい町がほしければ独裁国家になればいい。ともかくその後日本の高度成長があったわけだが、インフラは地下鉄が増えたぐらいで、40年間なにもしてこなかった。東京と地方の格差などと奇妙なことをいって、田圃のなかに車のかわりに熊が歩く道路をつくった。山手通りは石原都知事になって、やっとのことで拡張工事がすすでいる。

東京のインフラを整備するためには、東京オリンピックが必要なのだ。そうでなければ税金はみんな地方にもっていかれる。東京のインフラは貧しい。交通渋滞でしょうじる経済損失は膨大なものだ。 もちろんインフラ整備の最大の目的は、来るべき東京大震災の対策である。

以上がひとつ目の土建屋オリンピック賛成論である。二つ目の賛成論は中国の聖火リレー騒動を見て思ったことだが、いま、日本はかって返上した第12回東京オリンピックを復活開催しなければならないということだ。 北京の聖火リレーはナチの聖火リレーの再現だった。ブルーのスポーツ・ウエアの聖火護衛隊は、ナチの黒い制服の親衛隊のようであり、人権弾圧と民族浄化の象徴のように見えた。

欧米諸国はベルリン・オリンピックのとき、ナチに妥協したのだが、第12回オリンピック東京大会返上の背景には欧米の包囲網があった。今回の北京オリンピックは、チベット弾圧を非難しながら、開会式の首脳欠席をちらつかせながらも結局は妥協しようとしている。アメリカは当時と同じように中国といわば反日同盟を結んでいる。まるで大東亜戦争が続いているみたいだ(笑)。ともかく、第十二回オリンピック東京大会は、ベルリン大会に抗して、人種差別撤廃アジア解放を願う大会になるはずだった。しかし、ご存じの通り、日本は日独伊と協定をむすび、みずから「侵略者」になっていく。

ブッシュ米大統領が退役軍人の集まりで、9.11テロを真珠湾攻撃になぞらえ、神道の狂信的な国に民主主義を教えてやったのはアメリカだと演説した。ブッシュは、(マイケル・ムーアがいうように)バカで間抜けだから、こんなことを言ったわけではない。これがアメリカの平均的な考えなのだ。もちろんその奥底に黄色人種にたいする偏見があることはいうまでもない。

さて、64年の東京オリンピックは40年の12回大会の代わりになっただろうか。残念ながら、そうは思えない。あれは戦争に負けた日本がこんなに立派になりましたというナショナリズムの発揚ばかりが目立ったオリンピックだったような気がする。

坂井義則をしっているだろうか。団塊の世代はみんな知っているはずだ。わたしは戦中生まれだが、四十年以上たっても忘れない名前だ。かれは聖火リレーの最終ランナーで、広島に原爆が落とされた日に生まれたのだ。このことは新聞テレビで何度も繰り返されたので覚えている。

グーグルで坂井義則を検索したら、JOCのホームページに「東京オリンピックから40年」という連載シリーズがあった。その第一回が「東京オリンピック聖火最終ランナー・坂井義則氏」なのだが、これを読むと何か違和感がある。売れない芸人が、ワイド・ショーで、一生懸命自分の個人的なエピソードを語るようで、ちっともおもしろくない。よくある勘違いなのだ。聖火台までの階段が182段あるなんてどうでも良いことだ。われわれが関心があるのは、彼の誕生日のことだけだ。それがなければ坂井義則は私にとってゼロである。

ところが誕生日のことに触れたのは、ただ一カ所だけ、それも坂井氏の発言ではなく、インタビュアーの言葉として以下のように触れられている。
「坂井は原子爆弾が広島に投下された日に生を受けた。この事実が聖火最終ランナー選考に大きな要素となったのは想像に難くない。『スポーツと平和』は誰もが願う永遠のテーマだ。」
「原爆と平和」なんて戦後日本人の最大の嘘ではないか。あれはアメリカが犯した人類史上最大の罪だろう。

わたしは若い頃は親米だったけれど、原爆投下がアメリカの人種差別の表れだと言うぐらいの認識はあった。しかし、日米安保に賛成だったし、日本はアメリカの属国だともおもっていたので、平和の祭典であるオリンピックの開会式で、宗主国の原罪をあからさまに示すようなことをして大丈夫なのかと内心ひやひやしながら、テレビでアナウンサーが「広島に原爆が投下されたちょうどその日、1945年8月6日に広島で生まれた坂井義則くん」と興奮していうのを聞いていた。

しかし、心配は無用だった。みんなが本気で原爆は平和の象徴だと信じていたのだ。アメリカはもちろん、坂井氏を最終ランナーに選んだJOCも、そして坂井氏自身も。坂井氏はインタビュー記事の最後で、1972年のミュンヘン五輪のテロ事件をテレビ記者として取材した体験をふまえて、「オリンピックで、もうこんな凄惨な事件を絶対に繰り返してはいけない。今こそオリンピックを平和の祭典として再認識することが大事です。」とあくまでも、「原爆と平和とスポーツ」のスローガンを述べているのだ。

もし、二回目の東京大会の開催が決まれば、坂井義則氏の「美談」をまた繰り返し聞かされることになるだろう。かれは開会式に招待されるかもしれないし、あるいは、テレビ中継のゲストに招かれるかもしれない。それを考えるとオリンピックの東京開催に反対したくなるが、それよりも、今度こそ原爆や東京空襲の被害者たちに点火式に参加してもらったらどうだろう。

もちろんこんなことを本気で考えているわけではない。ちょっと1940年と1964年の東京オリンピックのことを比較して見ただけだ。そして戦前と今の状況が非常に似ているとおもう。アメリカがファッシストの蒋介石と共産党の毛沢東を援助して、すでにアメリカより民主的な国家であった日本を敵にしたことが失敗だったということを欧米諸国に知らしめる絶好の機会だ。蒋介石のファシスト的なプロパガンダと夫人の宋美齢の色香でまんまとルーズベルトをだまして援助をえたのだ。ところが今回の聖火リレーを使った中共政府のプロバガンダが、失敗したのだ。すくなくともまともな民主主義の国なら、中国の今回の振る舞いの異様さに気づかざるをえないだろう。

日本を非難している中国と韓国がおかしな国であることに気づかないとしたら、それはまともな国家ではないのだ。韓国にかんしてはソウル・オリンピックとサッカーのワールドカップで少なくとも参加した選手たちはその異様な韓国の民族性を知ったはずだ。そして今度は北京オリンピックだ。すでに聖火リレーの騒動があった。あのブルーの聖火護衛隊をみたら、ヨーロッパの人々はナチの親衛隊を思い浮かべたろう。大会ではどんなことが起きてもおかしくはない。もちろん中国が大混乱に陥らないように配慮しなければならない。しかし、日本はこの機会を利用しない手はない。

さいわい日本はフェア・プレイの精神があるし、応援のマナーも世界一だ。

つづきます。

2008.06.05[Thu] Post 00:43  CO:0  TB:0  床屋政談  Top▲

FreeTibet(その6)

 [ロンドン 21日 ロイター]  ダライ・ラマ14世は、訪問中の英国で記者会見し、北京五輪への正式な招待はまだ受けていないとした上で「喜んで(北京に)行くが、それはすべてわれわれの話し合いにかかっている」と述べた。また、今月12日に発生した中国・四川大地震への中国政府の対応について、ダライ・ラマ14世は「透明性があり素晴らしい」と賞賛した。

ダライ・ラマは本当に中共政府の四川大地震への対応に透明性があると思っているのだろうか。そうだとしたら、かれはチベット独立の指導者としての資質に欠けていると言わざるをえない。かれは自分がガンジー主義者だと言っているが、ガンジーはインドの独立になんの寄与もしていないのだ。亡命政府樹立いらいの彼の臆病な振る舞いが今日のチベット民族の滅亡の危機を生んだのではないか。民族浄化が最終段階だというのに、相変わらずのんきなことをいっている。まさかノーベル賞をもらって喜んでいるわけではないだろう。

ダライ・ラマは高度な自治を求めているのであって、独立を求めているのではないともいっているが、中共政府にとってはどちらも同じことだ。アメリカが中国と悪の同盟を結んだいま、チベット民族に残された手段は、たぶんテロだけだろう。ダライ・ラマはチベット仏教には武力行使を否定する思想はないと言っている。それなのに、ガンジー主義なんて言ってるようでは、チベット民族はいずれ消えていくだろう。



2008.05.24[Sat] Post 15:29  CO:2  TB:0  床屋政談  Top▲

ミャンマーの民主化

「マレーシアのマハティール前首相は23日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見し、サイクロンで大規模な被害が出たミャンマーへの援助について「支援を行う際には、その機会を政治的に利用しないことが重要だ」と述べ、欧米諸国にクギを刺した。」(産経news5/23)

いまだ欧米支配からのアジアの解放を願っているマハティールの言葉だ。たぶん、ミャンマーの自立のためには宗主国イギリスの傀儡であるスーチー女史による民主化よりも、王政復古がのぞましいと思う。でも、もう遅い。ミャンマーには憂国の士は一人もいない。スーチー女史の父親が日本を裏切ったときに、それに従わなかった軍人たちが最後の憂国の士だったのだ。
ちなみにサイクロン被害への支援額が一番多いのはイギリスの3400万ドルだ。
2008.05.24[Sat] Post 13:35  CO:0  TB:0  床屋政談  Top▲

ミャンマーのサイクロンとシナの四川大地震(2)

「国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は23日、ミャンマー軍事政権トップのタン・シュエ国家平和発展評議会(SPDC)議長と会談し、同議長が「すべての」援助関係者を受け入れることに合意したと表明した。」(ロイター5/23)

ということだが、ミャンマーの軍事政権には一貫した方針が見えない。方針と言うより戦略がない。ひとまず新憲法制定の国民投票を終わらせたから気がゆるんだのだろうが、こんな不正以前のでたらめな国民投票は、国際世論をなだめるには役にたたないだろう。すべての援助関係者を受け入れるというのが本当なら、それこそスパイがたくさん入ってくる。まぁ、お手並み拝見である。

それに比べ中共の情報操作は優れている。軍部とのあいだに対立があるようだが、それが表面化するのを巧みに回避している。日本の支援隊を受け入れながら、いっさいの仕事をさせないし、チベット問題を隠すことに成功している。

大谷昭宏が、日本の援助隊が仕事をさせてもらえなかったけれど、中国の人たちはちゃんと日本人の協力を見て感謝している。こういう活動によって中国の反日感情もなくなっていくのだ、だって。仕事をさせてもらえなかったのは、反日をあおり立てるための、軍部の意地悪もあるが、もともとは、チベット人弾圧などを隠すためじゃないか。シナ人にいい人だと思われるために、援助隊は行ったのではない。瓦礫の下から生存者を助けるためにいったのだ。そもそも彼らが反日プロパガンダや反日教育をやめない限り、親日になることはない。そのことを長野の事件は教えてくれたのではないか。中共政府は人民の集団心理を操作することは自由自在のようだ。今のところは。

それに、日本人にたいする好感度があがったとよろこんでいるが、あれは新華社が援助隊の黙祷の写真を流したからだ。もちろん、テレビは繰り返し温家宝首相と胡錦濤主席のわざとらしい映像を流しているのと同じで、国民の反日感情を操作するためにやっているのだ。このままでは日本の反中感情が高まることをおそれているのかもしれない。

それにしても、日本のFree Tibetの声はどこにいったのか。
スーチー女史の家はサイクロンの被害で塀が壊れたという記事があったが、彼女の動静はわからない。自家発電の装置がないのでロウソクで生活しているそうだ。

ミャンマーの軍事独裁がアフリカ化していくような気がする。

2008.05.23[Fri] Post 18:17  CO:0  TB:0  床屋政談  Top▲
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