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もとは美術展評のブログ 絵画と映画と小説と、そして哲学を少々

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ロスコとジャコメッティ

ヒドラさん 『モーリス・ルイス展』の記事に長いコメントありがとうございました。返事が長くなったので、記事の欄に載せます。

フッサールは図像の三層構造の分析を具象画をもとに行っています。歩いて入れる空間のイリュージョンがあるロスコの絵画は、具象画だと思っています。目で見るだけで歩いて入っていけない空間は、それが具体的な大きさを持つ生活世界ではないからです。もちろん大きさの基準はわれわれの身体です。想像的身体も大きさを持っています。知覚の身体と想像の身体は違うのです。それから没入と空間のイリュージョンの問題は複雑なので、もう少し待ってください。

抽象画のイリュージョンのまえに、彫刻とイリュージョンの問題を考えてください。彫刻はなかなか像に見えないという話はしました。彫刻を見るときわれわれはなかなか知覚を超越する(注1)ことができないので、ミニチュアはミニチュアに見えてしまいます。没入して自分の知覚的身体を消去しないと像主題が見えないということです。ドイツ語では便利なことに立体でも平面でも(彫像でも図像でも)Bildを使えます。

立体のイリュージョンについては、没頭しなくても像主題が容易に見えるのはジコメッティの『四つの小像』です。あれはほんとうにマッチ棒のように小さい像でしたが、自分の知覚的身体を消去しなくても、ふつうにみれば、そこにミニチュアではなく、等身大の人間が現れます。まさに三層構造なのです。これは、簡単なことです。小像がミニチュアではなく、遠くにいる人物に見えると言うことです。現実の知覚でも、遠くに小さく見える人物はちゃんと等身大に見えるでしょう。これはもちろん遠近法という知覚世界の構造があるからで、像ではなく、通常の知覚です。しかし、ジャコメッティの小像は違います。小像は遠くではなく目の前にあるのです。だから像客観(Bildobjekt)は小さく見えます。そして、像主題は等身大に見えます。

小像のBildsujetが大きく見えるのは、二つの理由があります。一つは、遠方からみたようにボリュームがなく、かつ滲んだように細部が省略されていること、もう一つは、小像は一つではなく、四つ並べているということです。これで、お互いどうしが大きさの尺度(人間は万物の尺度です)になって、等身大の人間(像主題)があらわれるのです。

ジャコメッティの胸像も、小像ほどわかりやすくありませんが、この知覚の距離と、イリュージョンの距離を巧みに使っているように思えます。このことは次回に。

ロスコとジャコメッティは、わたしにとって奇跡なのです。

注1:知覚している物質的彫刻を中和変容して、主題を見ること。

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2008.11.21[Fri] Post 00:10  CO:1  TB:0  *ジャコメッティ  Top▲

Alberto Giacometti

ジャコメッティ展(川村記念美術館)★★★★★

 ジャコメッティ展を再度見るために川村美術館に行った。
 この前のジャコメッティ展の展評で書いたように、神奈川近代美術館葉山分館の展示には不満だったので、ちょっと八つ当たりをして、学芸員の悪口をいったり、こんな展覧会を見るならブリジストン美術館の《ディエゴの胸像》を一つ見たほうがよっぽどマシだと、憎まれ口を叩いていた。
 川村美術館にもう一度行って見ると約束していたのだが、どうも、気乗りがしない。それでも、ジャコメッティがつまらないのか、葉山の展示が悪いのか、おそらく台座は同じものを使うだろうが、照明は葉山とは変わるだろうし、ひょっとしたら、白い背景ばかりではなく、もう少しちがう背景で見られるかも知れないと、川村美術館にいった。

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2006.11.12[Sun] Post 23:29  CO:0  TB:0  *ジャコメッティ  Top▲

ブリジストン美術館のジャコメッティ★★★★★

 神奈川近代美術館葉山分館のジャコメッティ展が面白くなかったと、女房が、ずっと不機嫌で、田舎に帰る前に、もう一度ブリジストン美術館のジャコメッティを見ておきたいというので、しかたなくブリジストン美術館に電話した。

 
 

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2006.06.28[Wed] Post 17:59  CO:0  TB:0  *ジャコメッティ  Top▲

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